相続人の順位とは?法定相続分との関係などを解説

 

 

相続人になれるかどうかは「順位」という概念が関係しています。そしてこの順位に応じて各人の遺産の取り分を左右する「法定相続分」も決まってきます。


この記事で、順位およびそれに連動する法定相続分に関して解説をしていきます。

 

相続人の順位とは

亡くなった方の家族・親族であれば誰もが相続人になれるわけではありません。
相続人になる人物は民法により定められています。

 

また相続人となる人物も常に固定ではなく、「順位」に従い優先度が定められていますので、順位の高い者から順に相続人となる権利を得ることができるのです。

 

第1順位から第3順位の人物

まず、亡くなった方の“配偶者”は常に相続人となる権利を得ます。特殊な立場にあり、順位を気にする必要はありません。以下のどの順位の者が相続人となる場合でも共同相続人となることができます。

 

ではまず第1順位からですが、これには“”が該当します。
そのため亡くなった方に子がいる場合は、配偶者と子が相続人となり、後順位の方は相続人となれません。

 

続いて第2順位には“直系尊属”が該当します。
亡くなった方の親や祖父母のことです。子がいない場合に相続権を得ます。

 

そして第3順位が“兄弟姉妹”です。
子も親などもいない場合に亡くなった方の兄弟姉妹が相続権を得ます。

 

なお、子がいないといっても、その子の子(亡くなった方の孫)がいるのなら代襲相続により第1順位として孫が相続人となる点には留意しましょう。

 

順位と法定相続分について

配偶者と第1順位の者が相続人となる場合、それぞれ遺産の2分の1を取得する権利を得ます。
第1順位の者が複数人いる場合には、2分の1をさらに分割します。配偶者は1人で2分の1の遺産を取得します。

 

これに対し第2順位の者が相続人となる場合は、配偶者が3分の2、第2順位の者らで3分の1を分割します。

 

第3順位の者が相続人となる場合は、配偶者が4分の3、第3順位の者らで残りの4分の1を分割することになります。

 

このように、同じ相続人という立場でも、順位によって取得できる財産の割合は大きく異なります。ただし遺産分割協議で全員の同意があれば、この割合と異なる形で相続することは可能です。

 

遺留分にも影響する

一定の相続人には、生活保障の目的で遺留分と呼ばれる遺産の取得割合が法定されています。

遺言書により「三者に全財産を渡す」と指定されていても、遺留分に限っては請求することができるのです。

 

ただしここでも亡くなった方との続柄により割合が異なります。


配偶者や子に関しては法定相続分の2分の1が認められます。直系尊属はより少ない割合でしか認められず、兄弟姉妹にいたっては一切の遺留分が認められていません。

 

法定相続分にしろ遺留分にしろ、亡くなった方との関係が遠くなるほど取得できる割合が少なくなると覚えておくと良いでしょう。

公正証書遺言作成の必要書類と費用を紹介します

 

 

遺言書には遺言者1人で作成ができる「自筆証書遺言」とは別に、公証役場で作成を行う「公正証書遺言」というものがあります。


公証人が作成してくれるため法的に有効な遺言書とできるなどの利点があるのですが、手続を進めるために必要書類の準備が必要となりますし、費用の支払いも欠かせません。


そこでこの記事では、公正証書遺言の必要書類と費用に焦点を当てて紹介をしていきます。

 

公正証書遺言作成の必要書類

遺言書は自らの財産の行方、相続人らの権利に影響を及ぼす存在であり、とても重要な役割を果たします。
そのため身分関係などは事前にしっかりとチェックする必要があります。

 

その観点から提出を求められるのが次のような書類です。

 

  • 印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証などの(遺言者)本人が確認できる資料
  • 相続人との関係性が記されている戸籍謄本
  • 遺言書により財産を受け取ることとなる受遺者の住民票
    ※法人を受遺者とするときはその法人の登記簿謄本を用意する

 

「受遺者の住民票」に関しては、相続人以外が遺産の受取人となる場合に必要となるものです。

このように、状況に応じて必要な書類は異なり、何より財産の内容に応じても準備すべきものは変わってきますので留意しましょう。


例えば不動産を遺言書により誰かに与える場合には「固定資産税納税通知書」や「固定資産評価証明書」、そして「登記事項証明書」を用意しなければなりません。

 

また、公正証書遺言の作成にあたっては証人を2人以上用意しなければなりません。
そこで証人それぞれに関しても、氏名・生年月日・住所・職業がわかる資料の準備が求められます。

 

公正証書遺言作成で負担する費用

公正証書遺言は公証人という法律のプロが作成手続に関与します。そこでこの公証人に対して手数料の支払いが求められます。
その価額は遺言書に記載する財産の価額に対応します。

 

例えば財産の価額が100万円以内なら5,000円。200万円以内なら7,000円。500万円以内なら11,000円といった形で増加していきます。
※詳しくは公証人手数料令第9条別表に記載

 

また、一般的には弁護士や司法書士行政書士などの専門家に相談して遺言書への記載内容などは決めていきます。


そのためそれら専門家への相談料・依頼料が発生します。依頼先により異なりますが、遺言書の作成に限れば20万円ほどが相場とされています。

 

その他、上記必要書類の準備に必要な若干の手数料も発生します。

 

戸籍謄本の取得なら1通あたり450円。住民票の取得なら1通あたり300円。その他数百円レベルの費用が複数出てきます。こちらの費用は、合計してもそれほど大きな負担にはならないでしょう。

包括遺贈をするときどんなことに注意が必要?遺言書作成の前に知っておくべきこと

包括遺贈をすることで一挙にすべての財産を特定の人物に渡すことができます。

親しい友人がおりその方に財産を与えたいという場合、遺言書にその旨記載することで、相続人でなかったとしても遺産を受け取ってもらえるのです。

 

ただしトラブルを避ける上で注意すべき点があります。この記事にまとめましたので、参考にしていただければと思います。

 

包括遺贈の問題点

包括遺贈は「財産の全部をAにあげる」「財産の半分をAにあげる」といった形で、全部または割合の指定によりする遺贈を意味します。

 

遺言書への書き方としては非常に簡単で、遺言書作成者はそれほど悩むことなく作成を進めていくことができるでしょう。

ただ、「財産の全部」としてしまうと、借金なども全部取得させてしまうことになります。もちろん、あげようとしている相手方が遺贈を拒絶すれば借金を背負うことはなくなるのですが、そうすると資産に関しても受け取りを放棄することになってしまいます。

 

「財産の半分」としたとしても同じ現象が起こります。
半分の割合で借金も引き継ぐことになるのです。これら債務を大きく上回る資産があればそれほど大きな問題にはならないかもしれませんが、受遺者には手間がかかりますし、リスクであることに違いはありません。

 

またこれとは別に、「遺産分割協議に加わらなければならない」という問題も生じます。
包括遺贈ではその指定された割合で相続人と同様の権限を持つことになるため、遺産分割協議に参加することが求められます。これは受遺者にとって大きな負担です。特に相続人らとの関係性が良くない場合、トラブルに発展するリスクもあります。

 

包括遺贈をするときの注意点

包括遺贈にはメリットもある反面で、上のような問題を抱えているというデメリットもあります。

 

そこで、以下で説明することに注意して遺言書を作成することが大切です。

 

相続人との関係であまりに不平等にならないこと

相続人以外に包括遺贈をする場合、その分相続人が受け取ることができる財産が減ってしまいます。

 

遺産の受け取りを期待していた相続人からすると不満を持ってもおかしくありません。
そのため相続人と受遺者との間で対立構図ができあがってしまうおそれがあるのです。

 

こうした問題を防ぐためには、相続人のことにも目を向け、双方のバランスを考慮した遺贈となるようにすると良いでしょう。

 

遺留分の侵害がないように配慮すること

相続人とのバランスを考えるべきというのは、「遺留分侵害」という観点からも言えることです。

 

被相続人の妻や夫、子、親などの特定の相続人については、「遺留分」という相続財産の一定割合を確保する権利を持ちます。
生活保障のためにこの制度が設けられており、ごく少額、あるいは一切の財産が受け取れないときには権利者が受遺者に対して「遺留分侵害額請求」を行い、遺留分を回収することも起こり得ます。

包括遺贈とは?特徴や特定遺贈との違いを解説

遺言書を使って財産を渡すことを「遺贈」と呼びます。遺贈によれば、その相手方が相続人でなくとも、遺産を渡すことが可能となります。

ただし遺贈のやり方には注意が必要です。記載の仕方による「包括遺贈」「特定遺贈」の違いがありますので、両者の区別はできるようになっておく必要があります。ここで解説していきます。

 

包括遺贈とは

包括遺贈は「財産の全部あるいは一定の割合を、遺言書により贈与すること」を意味します。

 

そのため遺言書に「私が持っている財産はすべて子Aにわたす」と記載した場合、それは包括遺贈により遺贈をすることを指します。
全部でなくても、割合を指定したときには包括遺贈となるため「相続財産の半分は子Aに、残りの半分は子Bにわたす」とした場合も同じく包括遺贈です。

 

包括遺贈の特徴として、財産を取得する方(受遺者)に、相続人と同じ権利義務関係が構築されることが挙げられます。
全部または一定割合で財産をあげるということは、全部または一定割合の相続権をわたすといっているようなものであり、必ずしもプラスの財産を引き継ぐだけとは限らないのです。要は、その指定された割合で債務も取得する可能性があるということです。

 

特定遺贈との違い

上の包括遺贈と対になる遺贈として、「特定遺贈」が挙げられます。

 

特定遺贈は、具体的に渡したい財産を指定してする遺贈のことです。
よって、「この土地は配偶者にわたす」「預貯金1,000万円は友人Xにわたす」と遺言書に書き記した場合、これは特定遺贈をしようとしていると解釈されます。

 

具体的に財産を指定するのがポイントであり、単に「預貯金」と記載するよりも、金融機関名や口座番号なども明記しておくことが望ましいでしょう。とにかく“財産の特定”が大事です。

 

ここが包括遺贈と特定遺贈の大きな違いです。

 

包括遺贈であることの利点

遺言書の書き方により包括遺贈を指定したことになった場合、債務の取得というリスクもある反面、「特定の財産がなくなったとしても遺贈が実行できる」という利点を持ちます。

 

「この自宅をあげる」と特定遺贈をしようとしている場合、その自宅が火事によりなくなってしまうと、遺贈であげられる財産はなくなります。受遺者とするはずの人物が相続人でない場合、一切の財産が得られなくなる可能性が出てくるのです。

 

よって、特定の財産を取得してもらう特段の必要性がないのであれば、包括遺贈としておけば安心できると言えます。
遺言書を作成する本人であれば債務の存在も把握していると思われますので、そのリスクがないことを確認の上、包括遺贈という選択肢を取るのも検討すると良いでしょう。

相続人の調査には戸籍集めが必要!集めるべき資料やチェックポイントを紹介

遺産分割は、相続人全員が揃って行わなければなりません。相続人の確定ができていないにも関わらず行ってしまった協議はやり直すことになります。

そこで遺産分割に向けては、相続財産の調査に加え、相続人の調査も必要となるのです。ここでは相続人を調べるために集めるべき資料、相続人を確定するために見るべきポイントを解説していきます。

 

まずは亡くなった方の戸籍集めを始める

亡くなった方の戸籍を集めましょう。戸籍を見ることで、被相続人の親族関係などが確認できます。

 

集めるべき資料は、戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍などです。

被相続人の親や兄弟姉妹、さらには甥・姪なども調べていかなくてはなりません。婚姻により別の戸籍に入ることもありますので、過去の戸籍に遡ってチェックしていかなくてはなりません。

よって、集めるべきは、被相続人の「一生分の戸籍」ということになります。

 

戸籍集めにあたっては「被相続人の本籍地」の市区町村役場での手続が必要です。直接窓口に行っても良いですし、郵送での請求も可能です。

 

戸籍集めの必要書類

戸籍を取得するには、各自治体で運用しているフォーマットに従い「戸籍交付申請書」を作成することになります。

申請の際は、本人確認ができる書類と印鑑も持っておきましょう。これは郵送で請求するときも同じです。ただし郵送のときは返信用封筒と切手も一緒に入れて送ることになります。

 

なお、取得には数百円ほどの費用がかかります。

 

相続人を確定する

戸籍の収集後は、その記載内容から相続人の確定作業に入ります。

戸籍謄本には配偶者と子が、除籍謄本なら両親や兄弟姉妹の記載がなされています。離婚経験があるなら、別の除籍謄本に元配偶者・子の記載があります。

 

着目すべきポイント

戸籍が連続していることが重要です。

そこで、戸籍の作成日をチェックし、その1つ前の戸籍に記載の最終有効日を見てみましょう。両日が同じであれば連続していることの確認が取れます。

 

また、「改製」や「編製」の表記があるケースもあります。このときには改製日や編製日に着目して連続しているかどうかをチェックしましょう。

 

こうして作成日等の日付をチェックし、被相続人の出生にまで遡れば関係者がすべて浮かび上がってくるでしょう。

 

相続人調査は専門家に相談するのが安全

相続人の調査にあたっては、役所の窓口は平日しか開いていないこと、対応している役所が遠いと直接行くにしても郵送するにしても手続に時間がかかること、などの問題が生じます。

 

また、戸籍が集められたとしてもそこから相続人の確定作業にミスがあると遺産協議などその後の手続にも悪影響が広がります。こうした問題を解決するためにも、専門家に相談をしておくことをおすすめします。

相続手続はいつまでにする?相続放棄や相続税の申告などで注意すべき期間について

相続が開始されると、遺族の方、相続人の方は様々な手続に追われることとなります。例えば遺産分割の協議が必要ですし、そのために相続財産や相続人の調査もしなければなりません。他にも状況に応じた様々な手続が必要になるのですが、期間の定めが置かれているケースがありますので注意が必要です。

 

相続放棄は3ヶ月以内に

相続を放棄する場合、その旨家庭裁判所に申述しなければなりません。

そしてこの手続は相続が開始されてから3ヶ月以内でなければならないと定められています。

 

相続放棄を検討する場面は、例えばプラスの財産より借金の額が大きい場合などです。相続をそのまま受け入れるとすべての財産が相続人に承継されますので、経済的に恩恵を受けられることもあれば、逆に損失を受けることもあります。

そこで相続放棄という手続も予定されており、申述が受理されることで相続人は被相続人が有していた権利義務から関係を切ることが許されるのです。

 

ただし、いつまでも放棄が認められていたのでは債権者が困ってしまいます。

法的にも不安定な状態が継続してしまいますので、3ヶ月という期限が設定されているのです。

 

問題は、放棄すべきかどうかの判断をするため、この期間内に相続財産の調査をしなければならないということです。3ヶ月の猶予があるからとゆっくり過ごしていると調査が間に合わなくなるおそれがありますので注意しましょう。

 

相続税の申告と納税は10ヶ月以内に

相続放棄をせず、相続財産を取得した場合、その課税価額が一定以上に達すると相続税の申告および納税の義務が生じます。

 

そしてこの申告・納税は、相続が開始されてから10ヶ月以内と定められています。

申告書を作成して税務署に提出すれば良いのですが、そのためには相続人の特定から遺産分割協議、取得する財産の評価、利用できる控除制度の検討などを行わなければなりません。

 

やはり余裕を持って処理していかなければ間に合わなくなるおそれがあります。

期限に間に合わないとペナルティを課せられることもありますので注意しましょう。

 

遺留分が侵害されているときの請求は1年以内に

亡くなった方の夫や妻、子、そして場合によっては親にも遺留分が認められます。

法定相続分の一部を遺留分として確保することができ、遺言などによりその分が侵害されているときには、「遺留分侵害額請求」をすることで回収することができるのです。

 

ただし、この請求ができるのは相続開始と侵害されていることを知ってから1年以内と定められています。

期限の定めなく請求が可能になってしまうと、やはり相手方をいつまでも不安定な立場に置くことになってしまうなどの問題があるからです。

 

各種手続の進行に不安があるときには専門家も利用しつつ、間に合うように進めてもらうと良いでしょう。

遺産に係る基礎控除の計算のポイント!法定相続人の数え方について

相続税基礎控除遺産に係る基礎控除)は、法定相続人の数によって具体的な金額が変わります。大きな額が控除として認められますし、この額が申告や納税の必要性に関わってきますので正しい計算方法を知っておくことが大切です。

そこで以下では「基礎控除の計算における法定相続人の数え方」について言及していきます。

 

相続放棄をした人は含める

家庭裁判所相続放棄の申述をし、それが受理されると、当該申述をした方は相続人から外れます。つまり相続財産を受け取ることができなくなるのです。

そうするとその方に相続税の申告・納税の義務が課せられることはなくなります。

 

ただ、基礎控除額の計算においては申述の有無を考慮する必要はありません。

そのまま法定相続人として数えることが認められています。

 

例)被相続人に配偶者と2人の子がいる場合において誰かが相続放棄をしたケース

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3※

      = 4,800万円

相続放棄の影響なし

 

養子は最大2人まで

養子縁組をすると法定相続人は増えます。

しかし基礎控除の計算においては、数えることができる養子の数に上限が設けられています。

被相続人に実子がいるのなら養子は1人まで、実子がいないのなら2人までとされています。

 

例)被相続人に配偶者と3人の子(うち2人が養子)がいるケース

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3※

      = 4,800万円

※養子は1人分まで

 

例)被相続人に配偶者と3人の子(うち1人が養子)がいるケース

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 4※

      = 5,400万円

※養子が1人なのでそのまま算入できる

 

例)被相続人に配偶者と3人の子(うち3人が養子)がいるケース

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3※

      = 4,800万円

※実子がいないため養子は2人まで算入できる

 

胎児は含めない

胎児は法律上取扱いに注意が必要です。

基本的には権利能力が認められないところ、相続においては権利を持つと法定されています。

ただ、相続税の計算において、基礎控除額を算出する上では存在しないものとして考えます。

 

さらにややこしいことに、相続開始時点で生まれていなくても、相続税の申告日に生まれているのであれば法定相続にとして数えることが認められます。

よって、相続開始時点で胎児がいる場合には気を付けなくてはなりません。

 

例)被相続人に配偶者と子となる予定の胎児が1人いるケース

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 1※

      = 3,600万円

※申告までに生まれたら「2」で計算

 

相続税の計算は専門家に相談を

基礎控除額が相続財産の額を超えているのなら申告も納税も必要なくなります。

しかしその判断をするには財産の評価をしなければなりませんし、厳密には各人個別の控除内容なども考慮しなければなりません。

そのため相続税の計算を正しく行うためには、税理士などの専門家の利用が必要であると考えておくようにしましょう。

相続税は「遺産に係る基礎控除額」を超える相続財産があるときに課税される

相続があっても、相続税を納めなくて良いケースがあります。それは、相続財産の価額が「遺産に係る基礎控除」(以下、「基礎控除)と呼ぶ。)の額を超えないときです。

この記事で、相続税の計算における重要ポイントとなる基礎控除に関して解説していきます。

 

基礎控除の計算方法

基礎控除に関しては相続税法に規定が置かれています。

同法第15条第1項では、以下の計算式で具体的な額を算出することができるとあります。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

共同相続人がいない場合には上の式中の「法定相続人の数」が「1」となり、基礎控除額は3,600万円ということになります。つまり、少なくとも課税対象となる相続財産を評価した額が3,600万円を超えなければ相続税を負担する必要はないということです。

実際、9割ほどの相続では相続税が課税されていません。

 

法定相続人の数え方には要注意

上の式をみてわかるように、基礎控除額を決定づける重要なファクターは「法定相続人の数」です。

法定相続人が5人いれば6,000万円、10人いるのなら9,000万円もの控除を適用させることができます。そうなってくると宅地や建物などの財産を承継する場合でも非課税枠に納められる可能性が高まります。

 

ただ、ここで押さえておきたいのが「法定相続人として数えることが許される養子は1人もしくは2人まで」「相続放棄をした者がいても計算に含める」ということです。

 

まず前者についてですが、養子縁組をすると法定相続人が増えるところ、無制限に非課税枠を広げないための措置として最大でも計算に含められる養子の数に制限が設けられています。しかも2人というのは被相続人に実子がいない場合の話であり、実子がいるのであれば1人しか含めることができません。この点忘れることのないよう注意しましょう。

 

後者については相続人側に有利な内容となっています。

相続放棄の申述が受理されればその人物ははじめから相続人ではなかったという扱いになるのが原則ですが、この計算では、変わらず法定相続人の数として数えることが許されているのです。

 

基礎控除額を超えるなら相続税の申告と納税が必要かも

相続税の申告および納税の必要性を判断する上では、少なくとも課税価額が基礎控除額を超えていなければなりません。

他方、これを超えたからといって常に必要性が認められるわけでもありません。

なぜなら、各相続人が個別に利用できる控除があるかもしれないからです。実際、配偶者であれば配偶者控除を利用することで非課税となるケースがほとんどです。

他にも未成年者控除など、多様な控除制度が用意されています。

秘密証書遺言を解説!遺言の内容を隠したい方におすすめ

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普通方式の遺言には①「自筆証書遺言」、②「公正証書遺言」、そして③「秘密証書遺言」があります

最もポピュラーなのが自筆によるもの(①)、次いで利用されることの多いのが公正証書として残すもの(②)です。

こうしてみると、③の秘密証書遺言はあまり重要ではないのではないかと思われるかもしれませんが、それぞれに長所短所がありますので場面に応じた選択ができるよう、その内容を理解しておくことが大事です。

そこでここでは秘密証書遺言の特徴やメリット・デメリットなどを解説していきます。

 

秘密証書遺言とは

秘密証書遺言は、その名の通り、遺言の内容を秘密にしたまま作成できる遺言のことを言います。

自筆証書遺言でも秘密にすることは可能なのですが、「公証人や証人の関与を受けて作成しつつも秘密にできる」という点で特徴的と言えます。

 

作成の要件としては、事前に、証書への署名押印を遺言者が行うこと、さらに遺言者本人が遺言書の封入をすることが必要です。

その後証人2人と公証人に封書を提出。併せて「自分が遺言をしたい本人である旨」「筆者の名前と住所」を申述します。

 

この申述を受け、公証人が封紙に提出日等を記載してくれます。

最後に本人と公証人、立ち会った2人以上の証人が署名押印して完了です。

 

公証人および証人が2人以上必要である点、公正証書遺言と共通しますが、「遺言書の内容を記載するのが本人なのか」それとも「公証人が記載するのか」という大きな違いがあります。

秘密証書遺言は当然前者であり、自分以外の者の関与を受けるのは書面を封入した後ですので、どのような内容を書いたのかは誰にも認識されません。

単に「遺言書を作成した」という事実が知られるのみです。

 

秘密証書遺言はデジタルで作成、プリントアウトするのも認められる

公正証書遺言の場合、指定する内容を公証人に口述しなければなりません。

自筆証書遺言であればすべて自書、つまり手書きであることが法的に求められています。

 

しかしながら、秘密証書遺言ではパソコンで文字を入力してこれをプリントアウト、ワープロによる作成でも可能なのです。

さらに、代筆であっても問題はありません。

 

遺言書保管制度の利用も検討しよう

秘密証書遺言は内容を秘密できる点で優れていますが、近年、自筆証書遺言につき「遺言書保管制度」が新設されたことにより選択肢が増えました。

同制度では、自筆証書遺言として作成した遺言書の秘密を保ちつつ、安全に保管することができる制度であり、さらに方式不備のリスクをなくすことができるというメリットがあります。

 

そのため自筆かどうかやコストの面なども考慮しつつ、どちらを選択すべきか、よく検討すると良いでしょう。

公正証書遺言を解説!できるだけ安全に遺言書を作成したい方必見

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遺言にはいくつかの作成方法があるのですが、どの財産を誰に引き継がせるのかといった遺言の内容が無効にならないよう、できるだけ有効に機能させるために効果的なのが「公正証書遺言」です。

 

具体的にどのような特徴を持つのか、手続きないようなどにも言及していきます。

 

公正証書遺言の特徴

遺言作成の最も多いのは、自分ですべてを書き記し、そのまま自宅で保管するというケースです。

すべて自筆で作成するなど、所定の要件を満たせばこれは自筆証書遺言として分類されることになります。

 

これに対し、公正証書遺言は自分だけでは遺言を作成しません。公証人の関与も受けることになります。

さらに、証人を2人集め、この者に立ち会ってもらう必要もあります。

 

また、自筆するタイプとは真逆に、遺言を残したい方が公証人に口授することで作成を進めていくのです。

 

これを家族など、身近な人たちでやろうとすると、不正が発生するおそれがありますし、不正がなくてもこれが疑われる可能性が相当に増してしまうでしょう。

そのため証人2人と公証人も加えて、内容を口述し、筆記してもらうのです。

 

筆記した内容は、公証人が、遺言者と証人に読み聞かせを行い、問題がなければ承認および署名押印をします。

そして、公証人が最後に付記、署名押印して完成となります。

 

自分一人で作成するケースに比べると非常に手間がかかりますし、コストも発生してしまいますのでこの点デメリットがあるとも言えます。

 

しかしながら、遺言が法的に問題ないかどうか、作成過程に問題がないかどうか、後から「無効だ」などと主張されるリスクを低減させることができるというメリットが得られます。

 

相続後の人間関係を良好に保つために役立つ

公正証書遺言として遺言を残すことで、トラブルを避けやすくなります。

 

つまり、被相続人となる遺言者が自らの望みをかなえるために役立つのみならず、残された相続人間の関係性を悪化させないためにも効果的なのです。

 

相続前まで人間関係に問題がなかったとしても、相続をめぐって争いが生じ、良好な関係が維持できなくなることも起こり得ます。

実際、相続に関する争いは少なくありません。全国の家裁において扱った遺産分割調停事件の件数は、数千件から1万件ほどにものぼります。

 

こうした問題に対しては、事前に準備をしておくことが大切です。遺言はその一対策として有効なのですが、公正証書として残すことでさらにその実効性を高められるでしょう。