相続の手続や税制は複雑です。
一般の方でこの仕組みを理解している方は少ないかと思います。
そこで専門家への相談をおすすめしますが、その相談先にもいろいろあります。
それぞれに特徴が異なりますので内容に応じて選択することになるでしょう。
相続の相談先にはどんなところがある?
下の4つの専門家が相続に関する代表的なプロと言えるでしょう。
この他にも銀行や役所、法務局、税務署などがあります。
ただしこれらで相談できる内容はかなり限られています。
基本的に、そこで展開しているサービスに関連する範囲でのみ質問ができるという程度です。
対応してくれる人によっては色々と教えてくれる可能性もありますが、相続全般を深く質問したいという場合には向いているとは言えません。
なお、各専門家であっても、あらゆる相続問題を解決できるとは限りません。
カバーできる範囲の広さも専門分野もそれぞれ異なりますので、各専門家の特徴を知って上手く使い分けられるようにしましょう。
特に知っておきたいことは、法的にカバーしていい範囲が決められているということです。
例えば裁判における弁護は原則弁護士しかしてはいけないと決められているように、それぞれの専門家が手を出せる範囲は法定されているのです。
専門家別の特徴
専門家別の特徴を捉え、適切な相談先を理解していきましょう。
弁護士
弁護士は法律の専門家です。
特にトラブルが生じた際の相談先としての利用が多くなるでしょう。
相続人間で揉めてしまったときや、第三者と争いになったときには弁護士に頼ってみましょう。
ただし弁護士に対して「紛争解決」のイメージが強いことから、単なる相続手続に関する相談をしたとしても、周囲に攻撃的な印象を与えてしまうおそれもあります。
費用も比較的高くつく傾向にあります。
そのためトラブルが起こっている、または起こりそうなケースなどに頼みます。
弁護士に相談した際には話が大げさにならないようにし、周りの人が身構えないよう配慮するといいでしょう。
司法書士
司法書士は登記の専門家です。
例えば土地や建物といった不動産の名義変更や、会社役員の変更などの場面で必要になることが多いです。
相続を専門として扱っている事務所も珍しくないです。
色んな相続手続きを代行してくれるサービスを展開しているところもあるでしょう。
ただしあらゆることが代行できるわけではありません。遺産分割時の相続人間の利害調整など、弁護士が必要になることもあります。
行政書士
行政書士は権利や義務に関する書類作成の代行が主な仕事です。
イメージが湧きにくいかもしれませんが実は対応可能な範囲も広く、遺産分割協議書の作成や相続関係説明図等の作成依頼も可能です。
自動車の名義変更、農地を相続する場合の届出なども行政書士の独占業務です。
登記等が必要なら、他の専門家と連携している事務所かどか確認するようにしましょう。
費用は他の専門家より比較的低めに設定されています。
税理士
税理士は上の3つの専門家とは少し毛色が違います。
法律ではなく、税に関する専門家です。もちろん税に関する法には精通していますが、基本的には確定申告や相続税申告などの場面で登場します。
相続財産の価額が大きい場合にはそれだけ大きな税がかかってきますが、工夫次第で節税することができ、対策するかどうかで金銭的に大きな差が出てきます。
ただし登記やトラブル解決、遺産分割協議書等の作成などはできません。
そのため相続税がかかってくるという場面でのみ相談するといいでしょう。
9割以上の方に相続税申告の必要性がないという実情があるため、税理士を探すのは限られた方のみでしょう。
相談先の選び方
選び方のポイントとして、1つは上で説明した対応可能範囲を知るということが挙げられるでしょう。
簡単に言うと、登記なら司法書士、書類作成なら行政書士、相続税のことは税理士、トラブル解決は弁護士、となります。
他には、他士業との連携ができるかどうかもポイントとなります。
司法書士のところへ相談しに行った後で相続税の申告が必要なことに気が付いた場合、そこから税理士を探さなければなりません。
しかし事務所によってはこのような事態を想定して、すでに他士業と連携し、依頼主が余計な作業をしなくてもいいようになっていることもあります。
そのため、できるだけ専門家同士が繋がっており、連携体制が整っている事務所に相談すると良いでしょう。
次に費用もポイントになります。
費用の高さや低さで判断するのではなく、料金体系が明確に示されているかどうかが重要です。
どこまで対応してくれるのかも明示されていないと、事務所とトラブルになることもあり得ます。
また相続問題を得意としているかどうかも確認しておきましょう。ホームページ等を見て、これまでの実績、経験から信頼できるかどうか判断します。
最後に、相談した際の印象も重要なポイントです。
真摯な対応をしてくれるのか、しっかりと話を聞いてくれるのか、当たり前のことですがしっかりと意思疎通ができていないと希望通りの結果にならないこともあります。
無料相談を実施している事務所も多くありますので、実際に話してみて、相談したいと思える相手に依頼するといいでしょう。