遺産分割調停の概要を解説!行われる内容や申立て、注意点など

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遺産分割調停とは何か

相続が発生すると、その相続財産をめぐって複数の相続人で話し合いをすることになります。
このことを遺産分割協議と言い、例えば不動産や株式など、現金等のように分けるのが簡単でない場合に重要となります。
なぜなら、預貯金・現金であれば法定相続分などに合わせてそのままお金を分ければ済みますが、不動産は換価して分配しない限りきれいに分けることが難しいからです。
共有、もしくは単独で所有することになったとしても、その者は現金を全く受け取れないということも起こり得ます。

そのため、遺産分割協議としてどのような分け方をするのか話し合うことが重要になるのです。
しかし取り分を争ってトラブルになることも少なくありません。
ここで行われるのが「調停」です。

当事者だけでは解決できない場合に、調停委員を介して話し合い、解決を目指すというものです。

調停委員には裁判所から選ばれた専門家、弁護士などがなります。
そのためただ第三者を挟んだ話し合いということではなく、専門的な知見を交えた有意義な場とすることができるのです。

調停の内容

基本的に調停では、相手方と直接のやり取りはしません。
調停委員がそれぞれと個別に話をしてその主張を聴取することになります。
そのため調停の期日には裁判所に呼ばれることになりますが、裁判所といっても一般にイメージされるような公開の場ではなく非公開の場ですし、意見をぶつけ合うような場面もありません。

調停の目指すところは「両者の合意」であるため比較的和やかな雰囲気の中で行われ、調停員も双方が納得いくようなやり方を提示してくれたりもします。

そうして、遺産分割調停における論点である「誰がどのような財産をどのようにしてどれだけ分けるのか」というところを解決していきます。
なお、調停委員は解決を図るため色々と助言をしてくれますが、いずれかの当事者の味方になるわけではありません。
そのため通常の裁判における弁護士のような役割を果たしません。

調停を申し立てるには

調停の申し立ても自由にはできません。
申立人となれる者にも条件がありますし、費用・必要書類の準備も必要です。

申立人となれる者

調停の当事者は、相続人やそれと同等の権利を持つ包括受遺者、相続分の譲受人などです。
他にも相続人の債権者や遺言執行者も申立てが可能です。

申し立てにかかる費用

手数料は、被相続人1人あたり1,200円です。
1,200円分の収入印紙だけでよく、また、当事者の数だけ郵便切手代も必要にはなりますが大きな資金を用意する必要はないため、ほとんどの場合費用面で問題となることはないでしょう。

必要書類

調停の「申立書」は当然必要です。
また、相手方に贈る分の申立書も写しとして用意しておきます。

他にも以下のものは準備しておきます。

  • 申立人および相手方の戸籍謄本と住民票
  • 被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本
  • 相続関係図
  • 預貯金の残高証明書

さらに相続財産の状況に応じて別途必要となるものもあります。
例えば不動産が財産として残っている場合には「不動産登記事項証明書」、「遺言書」がある場合にはその写し、相続人以外の当事者も参加する状況なら「その地位を証明する資料」などです。

遺産分割調停での注意

調停では、共同相続人の合意が必要です。
そのためけんか腰で挑むのではなく、お互いが冷静に解決策を見出していこうとする姿勢が大切です。

自分の主張ばかり通そうとするのであれば解決はできませんし、調停を行う意味もなくなってしまいます。
その場合結局、その後に予定されている「審判」を開くことになり、余計に時間も手間もかかってしまうでしょう。
そうならないためには、相手方にも配慮した主張をしていかなくてはなりません。

また、相続財産に関する情報は正直に話すようにしましょう。

誤魔化したり隠したりしていると、その後の審判で事実が明らかになったとき悪い心証を抱かれることになります。
結果的に自分で自分を不利な状況に追い込んでしまうのです。

自分に不利益と思われる情報でも正直に話して解決を目指しましょう。