ある者が死亡し相続が開始されると、その者の保有していた財産の価額に応じて課税がなされます。
しかしあらゆる財産に対して課税が行われるわけではありません。
その性質に照らし、課税されるものとそうでないものとに分けられているのです。
以下では、これら課税財産と非課税財産の区別や、その具体例などを挙げて解説していきます。
課税財産について
まずは相続税の計算に含めなければならない財産から見ていきましょう。
原則としては、金銭に見積もることができるものであればすべて課税の対象となります。
例えば現金や預貯金は価値をそのまま評価できますし、当然計算に含めることとなります。
その他にも、有価証券や不動産、宝石、自動車、腕時計などは現金のように見たままで価値が判断できるものではありませんが、これを換価して金銭化させることが可能ですし、鑑定などを行い金銭に見積もることが可能です。
ただその評価の方法には色んなパターンがあり、不動産であれば家屋なのか宅地なのか、また山林や田畑といったものであることもあるでしょう。それぞれその評価方法は異なります。
他にも、死亡保険金・死亡退職金、死亡する前3年以内に贈与された財産、建設中の家屋なども課税対象となりますので注意が必要です。
贈与はよく節税対策として紹介されるものですが、今挙げたように、直近3年分の贈与は節税の効果が期待できません。
すでに贈与税の納付をしていたとしても相続税の計算に含めなければならず、その上で控除を行うという仕組みになっています。
死亡保険金や死亡退職金に関しても、死亡時点において本人の財産になっているものではないにもかかわらず、相続財産と同等に扱うことが規定されています。
ただし一定額までは含めなくても良いとするルールがありますので、基準額を上回るのかどうか、よく確認し、詳しくは専門家に相談するようにしましょう。
非課税財産について
次に、相続税のかからない財産、非課税財産に関して見ていきましょう。
遺贈によって取得されたものなども、広く課税対象となるのが原則ですが、国民感情等に配慮し、あえて対象外にしている財産も多くあります。
保険金や死亡退職金に対して、基準額まで非課税としているのもこういった観点からもうけられたルールです。
もっと分かりやすいのは、祭祀財産です。
例えば仏壇や墓所、仏具などは、祖先崇拝という慣習に配慮した結果、非課税になります。
また交通事故で被相続人の死亡することも起こり得るでしょう。
交通事故で死亡してしまった場合、本人は死亡しておりもはや賠償金を請求することが不可能になってしまっているものの、その遺族等に対し賠償金が支払われることがあります。
死亡に際して生じたものではありますが、賠償金に対してまで相続税を課すべきではないということで非課税になっています。
なおこの賠償金に関しては遺族の所得となりますが、所得税法上も課税の対象から外されています。
どちらに含まれるのか分からないときは専門家に相談
ここで紹介した分以外にも、様々な財産が非課税対象に含まれていますし、課税をされる場合でもその評価方法は細かく分けられています。
そのため自身が相続人となり取得する側になった場合はもちろん、被相続人の立場になる人に関しても、事前に対策を取ろうとするのであれば一度専門家に相談して確認しておくと良いでしょう。
被相続人が事前にこれらをきちんと整理しておくことは、死亡後に生じる身内間でのトラブルを防ぐためにとても重要です。
専門家も様々ですが、弁護士に依頼しておけば、その後紛争が生じたとしても最後までサポートしてもらうことができますので、特に大きな問題が起こりそうな場合には弁護士に相談するようにしましょう。