包括遺贈をするときどんなことに注意が必要?遺言書作成の前に知っておくべきこと

包括遺贈をすることで一挙にすべての財産を特定の人物に渡すことができます。

親しい友人がおりその方に財産を与えたいという場合、遺言書にその旨記載することで、相続人でなかったとしても遺産を受け取ってもらえるのです。

 

ただしトラブルを避ける上で注意すべき点があります。この記事にまとめましたので、参考にしていただければと思います。

 

包括遺贈の問題点

包括遺贈は「財産の全部をAにあげる」「財産の半分をAにあげる」といった形で、全部または割合の指定によりする遺贈を意味します。

 

遺言書への書き方としては非常に簡単で、遺言書作成者はそれほど悩むことなく作成を進めていくことができるでしょう。

ただ、「財産の全部」としてしまうと、借金なども全部取得させてしまうことになります。もちろん、あげようとしている相手方が遺贈を拒絶すれば借金を背負うことはなくなるのですが、そうすると資産に関しても受け取りを放棄することになってしまいます。

 

「財産の半分」としたとしても同じ現象が起こります。
半分の割合で借金も引き継ぐことになるのです。これら債務を大きく上回る資産があればそれほど大きな問題にはならないかもしれませんが、受遺者には手間がかかりますし、リスクであることに違いはありません。

 

またこれとは別に、「遺産分割協議に加わらなければならない」という問題も生じます。
包括遺贈ではその指定された割合で相続人と同様の権限を持つことになるため、遺産分割協議に参加することが求められます。これは受遺者にとって大きな負担です。特に相続人らとの関係性が良くない場合、トラブルに発展するリスクもあります。

 

包括遺贈をするときの注意点

包括遺贈にはメリットもある反面で、上のような問題を抱えているというデメリットもあります。

 

そこで、以下で説明することに注意して遺言書を作成することが大切です。

 

相続人との関係であまりに不平等にならないこと

相続人以外に包括遺贈をする場合、その分相続人が受け取ることができる財産が減ってしまいます。

 

遺産の受け取りを期待していた相続人からすると不満を持ってもおかしくありません。
そのため相続人と受遺者との間で対立構図ができあがってしまうおそれがあるのです。

 

こうした問題を防ぐためには、相続人のことにも目を向け、双方のバランスを考慮した遺贈となるようにすると良いでしょう。

 

遺留分の侵害がないように配慮すること

相続人とのバランスを考えるべきというのは、「遺留分侵害」という観点からも言えることです。

 

被相続人の妻や夫、子、親などの特定の相続人については、「遺留分」という相続財産の一定割合を確保する権利を持ちます。
生活保障のためにこの制度が設けられており、ごく少額、あるいは一切の財産が受け取れないときには権利者が受遺者に対して「遺留分侵害額請求」を行い、遺留分を回収することも起こり得ます。