相続税は、様々な種類の財産に対して課税されます。現金についても当然に課税されます。相続税の計算に漏れのないように含めて、正確な税額を算出するよう気を付けましょう。ここで現金を相続するときの相続税について解説します。
現金の相続は手間少なくて使い勝手も良い
現金の相続は、相続人にとってメリットでもあります。
1つは「遺産分割がしやすい」という点です。
1円単位で平等に分割することができ、家族間で利益バランスが崩れて揉めるといった事態を防ぎやすくなります。不動産やその他分割が難しい財産だと、財産単位で分割したときにどうしても利益のバランスを取るのが難しいのです。
また、「遺族の生活資金として使える」というメリットもあります。
不動産があると居住するなどの方法で活用ができますが、現金化するには手間がかかります。生活費に悩んでいる方からすると、手元に現金がないことで困る場面にも直面します。
さらに、「相続税の納税資金として使える」というメリットも得られます。
税金の納付は現金が原則です。もし相続財産が物だけだとすれば、納税者自身が持っている現金を使って納付をしないといけません。しかし現金の相続であれば相続財産を使ってそのまま納付できるため、現金の負担を回避することができるのです。
現金は相続税の負担が大きくなりやすい
上に挙げた通り、現金を相続することには数々のメリットがありますが、デメリットもあります。もっとも大きなデメリットが「相続税の節税が難しい」ということです。
例えば不動産の相続であれば特例や控除の仕組みが比較的充実しており、本来の価値から大幅に相続税評価額を下げられることも多いです。もし1億円で購入した不動産がある場合、まず、購入した時点で価値が下がります。さらに特例などを使えば購入金額の半分以下で相続税の計算をできることもあります。
一方で現金1億円を相続したとき、もちろん、1億円という額面をそのまま使って相続税の計算を行わなければなりません。結果的に納めるべき税額に数十万円、数百万円もの差が生じることもあります。
現金の申告漏れには要注意
不動産や自動車、預貯金、株式などは登録制度があったり取引内容が記録として残されたりしています。
しかし現金は手渡すだけで所有権が移転するため、履歴が残りません。その結果、亡くなった方がどれだけ現金を持っているのか、それがどこにあるのかを調べるのが難しいという特徴も持ちます。
あとになって「タンスの奥から現金が出てきた」ということのないよう、相続税の申告前に亡くなった方の自宅はよく調べておきましょう。