遺産分割や相続税の申告においてよく問題となる財産が「不動産」です。亡くなった方が土地や建物を所有していたというとき、相続人となる方は注意深く手続を進めていかなくてはなりません。とりわけ土地は相続税の負担を大きく左右する要因となりますので、しっかりと調査しておかなければなりません。
まずは不動産についての調査が必要
相続が開始されたとき、相続人のことや遺産のことについて把握をしないといけません。
遺産の調査においては不動産を調べることが特に重要です。価値が大きな財産は遺産分割協議で争点となりやすいですし、相続税の負担を大きくする可能性が高いためです。
そこで「固定資産税の納税通知書」や「固定資産評価証明書」、「登記事項証明書」「名寄帳」などと収集していきましょう。亡くなった方の自宅、あるいは役所などへ行ってこれらの書類を集めていきます。
公図および地積測量図なども準備できていると詳しい調査が進めやすくなります。
相続税の評価額を調べる
相続対象になっている土地や建物が明らかになれば、それらの相続税評価額を調べていきます。このときの評価額は、市場価格とは異なります。「路線価方式」や「倍率方式」といった、特定の計算方法に基づいて算出されます。
国税庁のホームページを確認し、相続する土地に「路線価」が付されているときは路線価方式を使って計算しましょう。路線価とはある道路に接した単位当たりの評価額ですので、設定された路線価に地積を掛け算することで全体としての評価額を調べられます。
※厳密には土地の形状に応じた補正も加える必要がある。
そしてこの路線価が設定されていないその他の土地については倍率方式で計算します。固定資産税評価額を基に、一定の「倍率」を掛け算して評価額を調べるのです。なお、この倍率はほとんどの場合「1.1」と定められています。倍率についても国税庁のホームページで調べることが可能です。
家屋については評価額を調べるのに難しい作業は必要ありません。固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
相続税は全財産の価額を合計して計算する
相続税は、財産単位で課税されるわけではありません。そのため「土地Aには相続税500万円」「家屋Bには相続税100万円」「預貯金には相続税200万円」などと一つひとつ算出する必要はありません。
不動産も含むすべての財産の相続税評価額を調べて、それらをまずは合計します。その後基礎控除を適用するなどの計算過程を経て「相続税の総額」を算出。
最後に「相続税の総額」を財産の取得割合に応じて分割し、相続人個別の納税額が明らかとなります。