相続税は、相続財産が多く残っているほど、多く課税されます。
つまり、事前に贈与をして相続財産を減らすことができれば、相続税の負担は小さく抑えることができます。しかし何も考えず贈与をしても節税することはできませんので、仕組みを良く理解して取り組む必要があります。
生前贈与とは
よく相続対策の手段として「生前贈与」が紹介されていますが、これは単なる「贈与」と違いはありません。
「生前にする(相続前にする)贈与」というニュアンスでこの言葉を使っているのであって、適用されるルールなどは一般的な贈与契約と同じです。
生前贈与には贈与税がかかることに注意
冒頭で「贈与で財産を減らしておけば相続税を小さくできる」と説明しました。これはその通りですが、相続税の代わりに贈与税が発生することを忘れてはいけません。
しかも、贈与税は相続税を補完する役割を持つ税であって、仕組みが似ている上に税負担は相続税より大きくなる傾向にあります。
そこで何ら対策を取らずに大きな財産を与えてしまうと、相続を待つよりも大きな税負担が発生してしまうのです。そこで生前贈与による節税効果を狙う場合、「どうすれば贈与税の負担を小さくして贈与ができるだろうか」ということを考えなくてはなりません。
基礎控除を使った生前贈与で節税ができる
生前贈与によるもっとも基本的な方法が「基礎控除の有効活用」です。
贈与税については110万円の基礎控除が適用可能ですので、1年間に受けた贈与財産の価額が110万円以内であれば、非課税で財産を受け取ることができます。
そこで少しずつ贈与を繰り返していけば、一切の課税を回避して財産を移転させられます。
ただし、「生前贈与加算」というルールには注意しましょう。相続税のルール上、「相続直前に行われた贈与については相続税の計算に含める」という運用がなされています。
特例を使った生前贈与による節税方法
基礎控除を活用だけだと得られる節税効果は限定的です。そこで特定の条件を満たせる場合には特例も使いましょう。
例えば「配偶者控除」です。
夫婦間で不動産を贈与するときは、最大2,000万円もの控除が適用させられます。
また、配偶者でなくても子どもや孫などを受贈者とし、その方が18歳以上であれば、「住宅取得等資金の贈与の特例」が使えます。自宅を購入するための資金を贈与する場合、最大1,000万円まで非課税で贈与をすることができます。
他にも、結婚資金や子育て資金、教育資金など、特定の目的でする贈与であって当事者の条件を満たすときは、1,000万円を超える贈与が非課税にできることもあります。