口座が凍結したときの対処法とは?家族信託などの対策を紹介

 

 

銀行などで口座を開設している方は多くいらっしゃると思います。その名義人が亡くなったり、認知症になったりすることで、口座が凍結してしまうことがあります。
凍結してしまうと入出金ができなくなり、相続人などは困ることになるでしょう。そこで以下の対策を検討してみましょう。

 

対策1:家族信託の活用


家族信託」を利用することで、口座の悪用などのリスクを回避しつつ、口座凍結を防ぐことができます。

家族信託は、信託の一種で、そのうち家族間で行う信託のことを指します。
財産を信託財産として家族に委ね、その管理や運用を任せる契約を結ぶことで始められます。

委託者、受託者、受益者の3者が関わる場合もありますが、多くの場合、委託者が同時に受益者になることが一般的です。
例えば、加齢により将来の判断能力に不安を抱えた委託者が、子どもに受託者になってもらい、生きている間は財産から生活費等を支出してもらう、といった形で家族信託を行うケースがあります。

家族信託を設立することで、委託者が認知症になったり亡くなったりしても、口座凍結を回避することができます。なぜなら、その時点で当該口座はすでに委託者のものではなくなっているからです。

 

対策2:成年後見制度の活用


成年後見制度」を利用することも、口座凍結への対策として有効です。
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人をサポートする制度であり、後見人が支援することで、本人の権利・財産を法的に守ります。

成年後見制度であれば本人が認知症になったあと、事後的に申し立てることができます。そのため家族信託を契約できなかった場合にも有効です。

ただし、成年後見制度は財産を増やすための運用には向いておらず、「保護」や「財産の維持」といった消極的な側面が強いことに留意する必要があります。

 

家族信託で口座凍結のリスクを回避する方法


家族信託は事前の対策としてとても有効です。しかりあまり馴染みのない仕組みですので、簡単にその流れを説明します。

まずは「信託契約を交わす」ことから始めます。
当事者間、つまり口座の名義人と、その口座の管理・運用を任せる受託者が信託についての約束を交わします。

契約が成立すれば、「委託者の口座から預金を引き出す」ことになります。
口座の名義人をそのままトレースすることはできませんので、いったん預金を引き出して、新たな信託用の口座に入れる必要があります。

そこで「信託口口座の開設」も行います。
信託専用の口座を作りたい旨を金融機関に伝え、これに応じてくれるところで開設をしましょう。

「信託口口座に入金」をすれば完了です。
その後受託者が契約内容に従って、適切に管理・運用をしていくことになります。

 

家族信託はどの専門家に相談するべき?

家族信託をご自身1人で対応するのは難易度が高いです。法的な専門性が高く、専門家の力を借りて対応するのが一般的です。当記事ではその専門家について紹介します。

弁護士

あらゆる法律問題に対応できる万能の専門家が「弁護士」です。

弁護士に相談をしておけば、その相談事項に関して他人とトラブルが起こっても訴訟対応まで一貫して任せることができます。特定の法律相談であれば他の専門家でも部分的に対応することができますが、訴訟代理人として制限なく活動できるのは弁護士だけです。

そのため揉めそうな場面では弁護士を選択すべきでしょう。

ただしコストが比較的高くなりやすい点には注意が必要です。同じ作業範囲を依頼するにしても高いコストがかかるケースが多いです。また、弁護士だからといって家族信託について他の専門家より詳しいとも限りません。

司法書士

司法書士」は、弁護士と並ぶ法律関連の実務家です。

家族信託に関する相談、契約書の作成など、広く対応することができます。また、登記のプロという側面も持ちますので、信託財産に不動産が含まれているときは司法書士に依頼するのが適しているといえます。

法的には弁護士も登記を行うことは可能ですが、あまり対応している弁護士はおらず、登記に関しては司法書士が登場することが多いです。

行政書士

行政書士」も司法書士のように法律関連の実務家で、特に手続上必要になる書面作成などを対応業務としています。

訴訟対応、利害関係者との交渉代理などはできず、できることには限りがあるものの、トラブルの発生が想定されていないような場面では行政書士にも十分な業務を依頼することが可能です。

例えば信託契約書の作成や、信託契約の設計の相談などができます。そして弁護士や司法書士に比べてコストの負担が小さいというメリットもあります。

税理士

税金のこと、お金のことは「税理士」にも相談できます。

家族信託では税金の課税も発生するケースがあるため、税金の負担や節税対策のことについては税理士に相談すると良いでしょう。

ファイナンシャルプランナー

家族信託は財産の取扱いに関する契約形態の1種ですので、お金の取扱いに詳しい「ファイナンシャルプランナー」に相談するのも1つの手です。

上記の専門家のように法律上の特別な権限は与えられていませんが、資産運用に関する様々な知見を共有してもらうことができ、家族信託の最適な組み方、その他の手段の検討など、幅広い視点からアドバイスをもらうことが期待できます。


他の専門家にもいえることですが、資格や肩書だけで判断するのではなく、その相談先の方が家族信託に強いことが重要です。その点に着目して依頼先を選定するようにしましょう。

口座凍結問題について!どんなときに凍結は起こる?

 

 

金融機関で口座を作っていても、その口座が凍結してしまい、使えなくなることがあります。その結果、名義人の家族や相続人などが困ることも出てきます。具体的にどのような場合に口座凍結は起こるのでしょうか。ここで解説します。

 

名義人が認知症になった:口座凍結が起こるケース1


認知症になるなど、口座の名義人の判断能力がなくなったと評価されたとき、口座凍結が起こる可能性があります。

判断能力がなくなった、あるいは著しくその能力が衰えた、という場合には単独で法律行為が行えなくなるからです。

金融機関との取引、つまり口座からの引き落としなどについても同様です。
詐欺被害などに遭うリスクもありますので、多くの場合、判断能力を欠いたという事実を金融機関が知ると、口座凍結されてしまいます。

 

ただ、重要なのは口座を使った行為に関して「判断能力を欠いた」あるいは「判断能力が衰えた」という点にあります。
そのため「認知症になった」という事実が、イコール口座凍結に結びつくとは限りません。認知症にも軽度・重度など程度があります。軽度の認知症である場合は凍結しない可能性もあります。

また、重度の認知症であっても、診断結果が病院から金融機関に勝手に通知されるわけではありません。

 

名義人が亡くなった:口座凍結が起こるケース2


口座の名義人が亡くなったときにも口座凍結は起こります。

ただし、口座凍結は自動的に行われるわけではなく、金融機関が名義人の死亡を知るまでは口座は使用可能な状態にあります。

 

しかしながら、口座凍結されていない状態で放置すると、一部の相続人や親族により不当な出金が行われる可能性があります。そのため、口座凍結を回避しようとするのではなく、別の手段で出金できないかどうか検討することが重要です。

なお、口座凍結後は、相続人たちは遺産分割協議を行い、誰が預貯金を取得するかを決定した上で、金融機関で手続きを行います。最近の民法改正により、一部の場合は遺産分割前に引き出すこともできるようになっています。

 

口座凍結による問題


口座凍結が起こるとどのような点で困るのでしょうか。具体的には次のような問題が起こると言われています。

「名義人の相続人や親族も出金ができなくなる」
水道光熱費やローンの返済、クレジットカードなどの引き落としができなくなる」

振り込みや引き出しができなくなることで、名義人の相続人やその関係者なども困ることが多数出てきてしまいます。
口座凍結で困ったときは、早急に専門家に相談し、どのように対処すべきかアドバイスをもらうようにしましょう。

 

遺産分割協議書を作成するメリットやデメリットとは?

 

 

相続手続の1つに「遺産分割協議」があります。遺産を誰が取得するのかを話し合うことを指します。そしてこの協議に際して作成されるのが「遺産分割協議書」です。
これを作成することにどんな意味があるのでしょうか。ここでメリット・デメリットを紹介しますので参考にしていただければと思います。

 

遺産分割協議書を作成するメリットについて


遺産分割協議書を作成することで、遺産分割の内容を正確に記録できるようになります。これはメリットの1つといえます。

遺産には様々な種類の財産が含まれており、それらを細かく分けていく場合には情報が錯綜し、誰が何を取得したのかがわかりにくくなるおそれがありますので、正確に記録する必要性があるのです。

遺産分割協議書を作成することで、誰がどの財産をどのように引き受けたのか、どのように分割したのかといった情報が明確になります。

 

さらに、遺産分割協議書は、争いを解決する証拠としての役割も果たします。
遺産の帰属先を明らかにすることで、後々「その財産は私が取得したものだ」「そんな話し合いはしていない」といった揉め事を回避しやすくなります。

訴訟に発展した場合にも、遺産分割協議書を証拠として活用することで、迅速に解決することができます。

 

さらに、遺産分割協議書を作成することで、各種相続手続きがスムーズに進むようになる、というメリットも得られます。

例えば遺産分割協議により取得した財産の中には、その後名義変更手続を要するものもあります。


例えば不動産を取得したとき、名義変更として登記申請を行います。このような手続きにおいて、遺産分割協議書は、取得財産の内容を明確にし、各種手続きを円滑に進めるための重要な資料となります。

 

遺産分割協議書を作成するデメリットについて


デメリットの1つは「作成に手間がかかる」という点です。

遺産分割協議書の作成には、「氏名」「本籍」「住所」「亡くなった日」などの情報、その他相続人に関する情報や分割内容などをまとめないといけません。

「専門家に依頼するときにコストがかかる」というデメリットもあります。
遺産分割協議書の作成には専門知識が必要で、司法書士行政書士、弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。


しかし、依頼するときに数万円以上のコストが発生します。費用対効果を考慮すれば大きなデメリットとも言えますが、費用の負担がかかるということは覚えておく必要があるでしょう。

 

デメリットもあるが遺産分割協議書は作成しておくべき


メリット・デメリットを挙げましたが、ほぼすべてのシチュエーションで“遺産分割協議書は作成すべきものである”と言えます。

作成しないことのリスクが大きく、それに対する作成のデメリットが釣り合っていないからです。
作成できていないことで、後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。これを防ぐためにも、必ず作成するようにしましょう。

 

遺言書の種類別にメリット・デメリットを紹介!

 

 

遺言書にはいくつかの種類があります。それぞれ作成方法が異なり、メリットやデメリットも異なっています。
「遺言書の種類について知りたい」「各遺言書にどんな違いがあるのか知りたい」という方はぜひ参考にしてください。

 

自筆証書遺言のメリットとデメリット


自筆証書遺言には、次のようなメリットがあります。

まず、自分自身で簡単に作成することができるため、専門家に依頼する必要がありません。作成に伴う費用もほとんどかかりません。
さらに、遺言書の内容や存在を秘密にすることができます。

 

一方で、自筆証書遺言には、以下のようなデメリットが存在します。

まず、不備がある場合、遺言書が無効になってしまうリスクがあります。
また、作成後に紛失や改ざんなどのリスクがあるため、遺言書の保管には十分な注意が必要です。
さらに、遺言書が見つからない場合、遺言者の意図と異なる相続が行われる可能性があります。

遺言書の有効性を確認するために検認手続が必要であるという点もネックです。

 

遺言書の有効性を確認するためには、検認手続が必要ですが、法務局で実施している保管制度を利用することで、紛失や改ざん、未発見のリスクを軽減することができます。

 

公正証書遺言のメリットとデメリット


公正証書遺言には、以下のようなメリットがあります。

まず、適切な形式で遺言書を作成できるため、遺言書の有効性に関するリスクが少なくなります。
また、遺言書の存在が公証人によって証明されるため、遺言書の存在を周囲に知らせることもできます。


さらには、遺言書の保管についても遺言者自身が行う必要がなく、安心して任せることができます。検認手続が不要ですし、相続人にとっては手続の煩雑がない点がメリットにもなります。

 

ただし、公正証書遺言には以下のようなデメリットもあります。

まず、証人が存在するため、証人から遺言内容が漏れるリスクがあります。

遺言書の存在を隠すことができないため、周囲に知られたくない場合には不向きです。
さらに、公正証書遺言の作成には費用がかかりますし、遺言者にかかる手間も大きいです。

 

秘密証書遺言のメリットとデメリット

秘密証書遺言には、以下のようなメリットがあります。

まず、遺言の“内容”を誰にも知られずに作成ができるという点が挙げられます。
また、自書が必須ではないため、パソコンで手軽に作成することも可能です。
公証人に対する費用が少ないとも利点といえるでしょう。

 

一方、秘密証書遺言には、以下のようなデメリットがあります。

まず、公証人役場での手続きが必要であり、証人を2人同席させないといけない点が挙げられます。
遺言書が発見されないというリスクもあります。


また、遺言書の内容は知られないものの、遺言書の“存在”については知られてしまう可能性があります。ご自身が遺言書を作ったこと自体も知られなくない方には、不向きといえます。

 

不動産相続によるトラブルを防ぐポイント!対策内容を紹介

 

 

不動産相続では、相続税の負担が大きくなりやすいですし、相続人間で平等な遺産分割をするのも難しくなってしまいます。取り合いになりも揉めることもあるでしょう。


相続をきっかけに家族仲・親族仲が悪くなるおそれもありますので、できるだけトラブルが起こらないように対策を練る必要があります。

 

ここで「不動産相続におけるトラブルを防ぐポイント」を紹介しますので参考にしてください。

 

生前の家族会議


事前によく話し合っておくことでトラブルを防げることもあります。


不動産の所有者も交えて話し合うことで、不動産の将来的な所有者についての納得も得られやすいです。

不満のある内容であっても、相続開始前から認識しておくことで揉めるリスクを下げることができます。

 

また、不動産を取得する人物としてはあらかじめ自分が取得するものと認識しておくことで様々な準備が進められます。

評価額を調べておけば、おおよその相続税も把握できますので、税負担への備えができます。

 

遺言書の作成


遺言書で不動産の取得者を指定しておけば、取得をめぐる争いも防げます。

遺言内容には法的な拘束力も生じますので、一部の相続人が「納得できない」といってもその主張を退けることができます。

 

ただし法令に則って適切に遺言書は作成されなければいけません。

間違った方式で作成していると、「その遺言書は無効だ」との主張をされてしまうことのリスクが高まります。

法律の専門家のサポートを受けて、ミスのないように遺言書は作成しましょう。

 

不動産を売っておく


相続が開始する前の時点では、不動産の所有者がどう扱おうが自由です。

そのため不動産をめぐるトラブルが予想されるとき、これを売却しておくのも一つの手です。

売却して現金化しておけば、平等に分割することができますし、相続人にかかる手続の手間なども削減することができます。

 

ただし、不動産の場合に適用できる税制上の特例が利用できず、税負担が増す可能性もあります。税理士に相談して売却をすべきかどうかの検討を進めましょう。

 

現金や預貯金を備えておく


不動産が唯一の遺産、あるいは不動産が遺産総額の大半を占めていると、遺産分割でトラブルが起こりやすいです。

 

そこで売却をするのを避けたいときは、被相続人となる方が現金や預貯金など分割しやすい財産も多めに残しておくよう努めましょう。


現金等が多く残っていれば、平等な遺産分割が実現されます。

また、相続税の納税にも耐えることができ、泣く泣く不動産を売却するという事態も避けやすくなります。

その他対策については、様々な専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。

 

不動産相続でよくあるトラブルとは?遺産に建物や土地があるときは要注意

 

 

遺産をめぐって、相続人や親族間でトラブルが発生することがあります。

「私がこの土地を取得したい」「よくお世話をしていたのだから多くの遺産をもらう」などと様々な要因で揉めることがあります。


特に不動産が遺産に含まれているとき、取り扱いが他の財産よりも複雑化し、トラブルが発生しやすいです。

具体的にどのようなトラブルが起こるのか、以下で紹介していきます。

 

自宅や土地の取り合いによるトラブル


被相続人が住んでいた家を誰が取得するのか」という点でトラブルが起こる可能性があります。

 

また、土地に関しては家屋と異なり経年劣化するものではありませんし、高い価値を有している可能性も高いです。

立地が良い土地だとその後賃貸物件などとして利用することもできますし、収益を生むことも可能です。

そのため取り合いが生まれる可能性があります。

 

平等な遺産分割ができないことによるトラブル


仮に遺産のすべてが現金であったとすれば、相続人間で平等に分割するのは簡単です。

 

しかし不動産しか遺産がないとき、複数の相続人で平等に分けることは難しくなります。

唯一の物件を取得した人物のみが資産を取得でき、他の人物は一切の遺産が受け取れないこともあります。

 

そこで共有名義で所有するという方法もありますが、このとき将来的に処分をするとき、意思決定が上手くできずトラブルになることもあります。

 

代償分割という、不動産の取得者が、現金を他の相続人に代償金として支払うことで平等にする方法もあります。

 

しかし取得者が相当に現金を持っていなければ現金の負担に耐えられません。


あるいは換価分割という方法もあります。

不動産を売却し、その対価を相続人でわけるのです。

このとき平等に遺産分割できますが、売却するまでに時間がかかるのと、不動産を残せないというデメリットがあります。

 

相続税の負担が大きくなることによるトラブル


不動産はそれ単体で大きな価値を持つ財産です。

そのため相続税の負担も相応に大きくなります。

現金や預貯金がたくさん残っているときは税負担が大きくてもそれ以上の金銭を受け取っているため大きな問題にはなりません。

一方で不動産を取得したときは、それを売却しないと現金化できず、税金については取得者がもともと持っていた現金で対応しないといけません。

 

「残したい不動産があるものの、相続税の納税ができなから手放す」という事態も起こり得ます。


そんなときは税理士などに相談し、評価額を下げる特例などを活用しましょう。

どうすれば不動産を残しつつ納税ができるのか、的確なアドバイスが受けられるでしょう。

 

みなし相続財産とは?具体例と相続税との関係について

 

相続財産に対しては基本的に相続税が課税されます。

ここでいう相続財産とは民法上の、純粋な相続財産のことであり、要は被相続人が持っていた財産を指しています。


一方、被相続人が持っていたとまではいえないものの、相続財産と同等に取り扱う「みなし相続財産」という概念もあります。

相続税の計算過程で重要になってきますので、ここで整理しておきましょう。

 

みなし相続財産とは


みなし相続財産とは、その名の通り、本来相続財産ではないところ「これを相続財産であるとみなす」財産のことです。

 

本来の相続財産とは、被相続人が持っていた現金や預貯金、不動産、有価証券などの幅広い財産のことです。基本的にはこれらすべてが相続税の課税対象となります。

 

これに対して、相続開始前において被相続人の管理下になかった財産(所有していなかった財産)は原則として相続の対象外です。


ただ、相続税課税の観点からは、実質において被相続人の財産と同等に扱えるものもあるのです。

 

生命保険金(みなし相続財産の例1)


みなし相続財産の代表例の1つが「生命保険金」です。

 

被相続人が被保険者であり、保険料の負担者でもあったケースでみなし相続財産となります。

 

このシチュエーションでは、のちに相続財産となりうる現金等が保険料として納められ、死後に保険金として形を変えて相続人等が取得することになります。

 

経路が異なるだけで、実質被相続人の財産が死亡をきっかけに相続人らに移ったととらえることもできるでしょう。そこで相続税の計算に含めるとの取り扱いがなされています。

 

ただ、その全額が課税対象になるわけではありません。

そもそも「納めた保険料=受け取れる保険金」の関係にはなりません。

そこで、非課税枠が設けられています。

500万円×法定相続人の数

で非課税枠の大きさは定まります。

法定相続人が3人いるときは、生命保険金を受け取ったとしても、1,500万円までなら非課税とすることができます。

 

死亡退職金(みなし相続財産の例2)


退職するとき、勤続年数等に応じて退職金が支給される企業もあります。

死亡により退職するケースもあり、その場合には死亡退職金として遺族に退職金が渡されることもあります。

これも、死亡から3年以内に支給が確定した分については、みなし相続財産として相続税の課税対象になりますので要注意です。

 

なお、こちらも生命保険金同様に非課税枠が設けられています。

500万円×法定相続人で算出される額までなら非課税にできます。

 

相続税の計算をするときは、ここで紹介したみなし相続財産についても忘れないようにしましょう。

 

相続人の順位とは?法定相続分との関係などを解説

 

 

相続人になれるかどうかは「順位」という概念が関係しています。そしてこの順位に応じて各人の遺産の取り分を左右する「法定相続分」も決まってきます。


この記事で、順位およびそれに連動する法定相続分に関して解説をしていきます。

 

相続人の順位とは

亡くなった方の家族・親族であれば誰もが相続人になれるわけではありません。
相続人になる人物は民法により定められています。

 

また相続人となる人物も常に固定ではなく、「順位」に従い優先度が定められていますので、順位の高い者から順に相続人となる権利を得ることができるのです。

 

第1順位から第3順位の人物

まず、亡くなった方の“配偶者”は常に相続人となる権利を得ます。特殊な立場にあり、順位を気にする必要はありません。以下のどの順位の者が相続人となる場合でも共同相続人となることができます。

 

ではまず第1順位からですが、これには“”が該当します。
そのため亡くなった方に子がいる場合は、配偶者と子が相続人となり、後順位の方は相続人となれません。

 

続いて第2順位には“直系尊属”が該当します。
亡くなった方の親や祖父母のことです。子がいない場合に相続権を得ます。

 

そして第3順位が“兄弟姉妹”です。
子も親などもいない場合に亡くなった方の兄弟姉妹が相続権を得ます。

 

なお、子がいないといっても、その子の子(亡くなった方の孫)がいるのなら代襲相続により第1順位として孫が相続人となる点には留意しましょう。

 

順位と法定相続分について

配偶者と第1順位の者が相続人となる場合、それぞれ遺産の2分の1を取得する権利を得ます。
第1順位の者が複数人いる場合には、2分の1をさらに分割します。配偶者は1人で2分の1の遺産を取得します。

 

これに対し第2順位の者が相続人となる場合は、配偶者が3分の2、第2順位の者らで3分の1を分割します。

 

第3順位の者が相続人となる場合は、配偶者が4分の3、第3順位の者らで残りの4分の1を分割することになります。

 

このように、同じ相続人という立場でも、順位によって取得できる財産の割合は大きく異なります。ただし遺産分割協議で全員の同意があれば、この割合と異なる形で相続することは可能です。

 

遺留分にも影響する

一定の相続人には、生活保障の目的で遺留分と呼ばれる遺産の取得割合が法定されています。

遺言書により「三者に全財産を渡す」と指定されていても、遺留分に限っては請求することができるのです。

 

ただしここでも亡くなった方との続柄により割合が異なります。


配偶者や子に関しては法定相続分の2分の1が認められます。直系尊属はより少ない割合でしか認められず、兄弟姉妹にいたっては一切の遺留分が認められていません。

 

法定相続分にしろ遺留分にしろ、亡くなった方との関係が遠くなるほど取得できる割合が少なくなると覚えておくと良いでしょう。

公正証書遺言作成の必要書類と費用を紹介します

 

 

遺言書には遺言者1人で作成ができる「自筆証書遺言」とは別に、公証役場で作成を行う「公正証書遺言」というものがあります。


公証人が作成してくれるため法的に有効な遺言書とできるなどの利点があるのですが、手続を進めるために必要書類の準備が必要となりますし、費用の支払いも欠かせません。


そこでこの記事では、公正証書遺言の必要書類と費用に焦点を当てて紹介をしていきます。

 

公正証書遺言作成の必要書類

遺言書は自らの財産の行方、相続人らの権利に影響を及ぼす存在であり、とても重要な役割を果たします。
そのため身分関係などは事前にしっかりとチェックする必要があります。

 

その観点から提出を求められるのが次のような書類です。

 

  • 印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証などの(遺言者)本人が確認できる資料
  • 相続人との関係性が記されている戸籍謄本
  • 遺言書により財産を受け取ることとなる受遺者の住民票
    ※法人を受遺者とするときはその法人の登記簿謄本を用意する

 

「受遺者の住民票」に関しては、相続人以外が遺産の受取人となる場合に必要となるものです。

このように、状況に応じて必要な書類は異なり、何より財産の内容に応じても準備すべきものは変わってきますので留意しましょう。


例えば不動産を遺言書により誰かに与える場合には「固定資産税納税通知書」や「固定資産評価証明書」、そして「登記事項証明書」を用意しなければなりません。

 

また、公正証書遺言の作成にあたっては証人を2人以上用意しなければなりません。
そこで証人それぞれに関しても、氏名・生年月日・住所・職業がわかる資料の準備が求められます。

 

公正証書遺言作成で負担する費用

公正証書遺言は公証人という法律のプロが作成手続に関与します。そこでこの公証人に対して手数料の支払いが求められます。
その価額は遺言書に記載する財産の価額に対応します。

 

例えば財産の価額が100万円以内なら5,000円。200万円以内なら7,000円。500万円以内なら11,000円といった形で増加していきます。
※詳しくは公証人手数料令第9条別表に記載

 

また、一般的には弁護士や司法書士行政書士などの専門家に相談して遺言書への記載内容などは決めていきます。


そのためそれら専門家への相談料・依頼料が発生します。依頼先により異なりますが、遺言書の作成に限れば20万円ほどが相場とされています。

 

その他、上記必要書類の準備に必要な若干の手数料も発生します。

 

戸籍謄本の取得なら1通あたり450円。住民票の取得なら1通あたり300円。その他数百円レベルの費用が複数出てきます。こちらの費用は、合計してもそれほど大きな負担にはならないでしょう。