相続手続の1つに「遺産分割協議」があります。遺産を誰が取得するのかを話し合うことを指します。そしてこの協議に際して作成されるのが「遺産分割協議書」です。
これを作成することにどんな意味があるのでしょうか。ここでメリット・デメリットを紹介しますので参考にしていただければと思います。
遺産分割協議書を作成するメリットについて
遺産分割協議書を作成することで、遺産分割の内容を正確に記録できるようになります。これはメリットの1つといえます。
遺産には様々な種類の財産が含まれており、それらを細かく分けていく場合には情報が錯綜し、誰が何を取得したのかがわかりにくくなるおそれがありますので、正確に記録する必要性があるのです。
遺産分割協議書を作成することで、誰がどの財産をどのように引き受けたのか、どのように分割したのかといった情報が明確になります。
さらに、遺産分割協議書は、争いを解決する証拠としての役割も果たします。
遺産の帰属先を明らかにすることで、後々「その財産は私が取得したものだ」「そんな話し合いはしていない」といった揉め事を回避しやすくなります。
訴訟に発展した場合にも、遺産分割協議書を証拠として活用することで、迅速に解決することができます。
さらに、遺産分割協議書を作成することで、各種相続手続きがスムーズに進むようになる、というメリットも得られます。
例えば遺産分割協議により取得した財産の中には、その後名義変更手続を要するものもあります。
例えば不動産を取得したとき、名義変更として登記申請を行います。このような手続きにおいて、遺産分割協議書は、取得財産の内容を明確にし、各種手続きを円滑に進めるための重要な資料となります。
遺産分割協議書を作成するデメリットについて
デメリットの1つは「作成に手間がかかる」という点です。
遺産分割協議書の作成には、「氏名」「本籍」「住所」「亡くなった日」などの情報、その他相続人に関する情報や分割内容などをまとめないといけません。
「専門家に依頼するときにコストがかかる」というデメリットもあります。
遺産分割協議書の作成には専門知識が必要で、司法書士や行政書士、弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。
しかし、依頼するときに数万円以上のコストが発生します。費用対効果を考慮すれば大きなデメリットとも言えますが、費用の負担がかかるということは覚えておく必要があるでしょう。
デメリットもあるが遺産分割協議書は作成しておくべき
メリット・デメリットを挙げましたが、ほぼすべてのシチュエーションで“遺産分割協議書は作成すべきものである”と言えます。
作成しないことのリスクが大きく、それに対する作成のデメリットが釣り合っていないからです。
作成できていないことで、後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。これを防ぐためにも、必ず作成するようにしましょう。