相続税は「遺産に係る基礎控除額」を超える相続財産があるときに課税される

相続があっても、相続税を納めなくて良いケースがあります。それは、相続財産の価額が「遺産に係る基礎控除」(以下、「基礎控除)と呼ぶ。)の額を超えないときです。

この記事で、相続税の計算における重要ポイントとなる基礎控除に関して解説していきます。

 

基礎控除の計算方法

基礎控除に関しては相続税法に規定が置かれています。

同法第15条第1項では、以下の計算式で具体的な額を算出することができるとあります。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

共同相続人がいない場合には上の式中の「法定相続人の数」が「1」となり、基礎控除額は3,600万円ということになります。つまり、少なくとも課税対象となる相続財産を評価した額が3,600万円を超えなければ相続税を負担する必要はないということです。

実際、9割ほどの相続では相続税が課税されていません。

 

法定相続人の数え方には要注意

上の式をみてわかるように、基礎控除額を決定づける重要なファクターは「法定相続人の数」です。

法定相続人が5人いれば6,000万円、10人いるのなら9,000万円もの控除を適用させることができます。そうなってくると宅地や建物などの財産を承継する場合でも非課税枠に納められる可能性が高まります。

 

ただ、ここで押さえておきたいのが「法定相続人として数えることが許される養子は1人もしくは2人まで」「相続放棄をした者がいても計算に含める」ということです。

 

まず前者についてですが、養子縁組をすると法定相続人が増えるところ、無制限に非課税枠を広げないための措置として最大でも計算に含められる養子の数に制限が設けられています。しかも2人というのは被相続人に実子がいない場合の話であり、実子がいるのであれば1人しか含めることができません。この点忘れることのないよう注意しましょう。

 

後者については相続人側に有利な内容となっています。

相続放棄の申述が受理されればその人物ははじめから相続人ではなかったという扱いになるのが原則ですが、この計算では、変わらず法定相続人の数として数えることが許されているのです。

 

基礎控除額を超えるなら相続税の申告と納税が必要かも

相続税の申告および納税の必要性を判断する上では、少なくとも課税価額が基礎控除額を超えていなければなりません。

他方、これを超えたからといって常に必要性が認められるわけでもありません。

なぜなら、各相続人が個別に利用できる控除があるかもしれないからです。実際、配偶者であれば配偶者控除を利用することで非課税となるケースがほとんどです。

他にも未成年者控除など、多様な控除制度が用意されています。