【遺産相続手続きの費用(1)】概要と費用一覧

f:id:samuraigyou:20210316181643j:plain


 多くの遺産相続手続きでは、相続したことを証する書面を公的機関や金融機関などに提出しなければなりません。

 

一般的な遺産の相続手続きにかかる公的機関や金融機関などに支払う手数料もかかります。

まず、遺産相続の手続きにかかる費用の概要を確認します。

 

遺産相続の手続きにかかる費用の一覧

遺産に含まれる財産の一般的なものは以下の通りです。

 

  • 預貯金債権
  • 株式
  • 宝石、骨董等
  • 不動産

 

遺産の種類は他にも考えられますが、上記の中で相続手続きが必要な預貯金、株式、車、不動産について、手続きにかかる費用を見ておきましょう。

 

遺産相続の手続きでは戸籍謄本代がかさむ

遺産相続手続きの際は、金融機関や法務局などに相続したことを証する書面一式を提出しなければなりません。

 

相続したことを証する書面とは、戸籍関係書類と住民票関係です。

遺産相続手続きの際は、相続人が生まれたときから死亡するまでの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、住民票の除票を市区町村から取り寄せなければなりません。

 

戸籍謄本などの公的な書類は1通だけ取得するのであれば、費用が大きな負担となることはありません。
しかし、被相続人が結婚や離婚、転籍が多かった場合、その数は膨大になります。

 

また、相続人の戸籍謄本や住民票、相続人の印鑑証明書も必要です。

 

相続手続きに必要な一般的な書類と取得費用

書類の種類 費用
被相続人の除籍謄本、改製原戸籍 1通750円程度
被相続人の住民票の除票 1通300円程度
相続人の戸籍謄本 1通450円程度
相続人の住民票、印鑑証明書 1通300円程度
固定資産評価証明書(不動産を相続する場合) 各市区町村規定による

 

注意しなければならないのは、除籍謄本が数十通にのぼるケースもあるということです。

 

特に数次相続や被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合、他に相続人がいないことを証するために相当数にのぼる除籍謄本、改製原戸籍が必要です。

 

そのようなケースでは通常、除籍謄本、改製原戸籍を遠方の市区町村から郵送で取り寄せるので、小為替手数料が小為替1通につき100円かかります。

 

除籍謄本、改製原戸籍だけで2~3万円かかるケースもあります。
金融機関などから除籍謄本、改製原戸籍はできるかぎり原本を返してもらったり、法定相続情報証明を法務局に申請したりして、費用を抑えるとよいでしょう。

 

法定相続情報証明の申請は無料ですが、弁護士や司法書士行政書士などの専門家に依頼する場合は報酬がかかります。

 

なお、原本は無条件に返してもらえるわけではありません。
金融機関、法務局、税務署など相続手続きをする機関ごとにルールが違いますので、確認することをおすすめします。

 

財産ごとの相続手続きの費用

一般的な遺産相続手続きに必要な費用は、以下の通りです。

 

財産ごとの相続手続きの費用

被相続人名義の預貯金の解約 手数料なし(ただし残金の振込手数料など必要)
株式の相続手続き費用 相続人名義の振替先口座開設費用など(各証券会社規定による)
車庫証明の取得費用(2,500から3,000円程度) ・ナンバープレートを変更する時の費用(1,500円から2,000円程度)
不動産 ・登録免許税 (相続を原因とする場合は固定資産評価額の1000分の4を乗じた額)

 

 

その他の費用

その他にも、次のような費用がかかります。

  • 遺言書検認費用
  • 相続放棄や限定承認の費用
  • 専門家に依頼する費用

 

自筆証書遺言または秘密証書遺言がある場合、家庭裁判所の検認を受けなければなりません。

検認の費用は遺言書(封書の場合)1通につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手代です。

 

また、相続放棄や限定承認する場合も、収入印紙代と郵便切手代がかかります。

 

 

参考:相続放棄・限定承認で家庭裁判所に納める費用

 

  収入印紙 郵便切手代
相続放棄 800円分(申述人1人につき) 連絡用の郵便切手必要
限定承認 800円分

 

専門家に依頼する費用は、財産それぞれの手続きを個別に依頼するか、パックで依頼するかで違います。
行政書士司法書士、弁護士などに預貯金・株式・車の相続手続きを依頼する場合、報酬は2万円から10万円程度でしょう。

 

ただし、不動産の相続登記については司法書士や弁護士に別途依頼することになるので、詳しくは次回の記事で紹介します。