生前贈与で節税対策!でも直前の贈与による生前贈与加算には注意が必要

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一般に、相続が始まる前に贈与をしておくことが、相続税に対する節税対策になり得ると言われています。
実際、上手く贈与を行うことで節税効果は期待できます。
しかしルールを把握して適切に行わなければ意味がありません。

そこで以下では生前贈与に関して注意すべき「生前贈与加算」のことを説明していきます。

生前贈与がなぜ節税になるのか

まず、生前贈与がなぜ節税に効果的なのか簡単に解説しておきましょう。

相続税は、相続に際して発生した財産の移動に対して課税されるものです。
取得する人、財産の内容・種類、価額の大きさなどによって細かく計算方法が決まっており、場合によっては数千万円もの納税義務を課せられることがあります。

相続税の額を小さくするには、各種控除制度を活用することも重要ですが、根本的な対応策としては相続財産自体を小さくすることが重要であると言えます。
ここで役に立つのが「贈与」です。
贈与もその額が大きすぎると贈与額に応じた課税がなされてしまいますが、一定額までは非課税です。
そのため非課税の範囲内で贈与を行い、相続時に移動する財産を小さくすることで、相続税も小さくできるという仕組みになっています。

なお「生前贈与」は、特に相続を見越したときの贈与を指して呼ぶ言い方で、一般的な贈与と異なる性質を持つものではありません。

直前の贈与で節税はできない

一定範囲内で贈与をしておけば相続税を安くできるということでしたが、相続税を免れる目的で行った贈与が無制限に認められてしまうと、他の納税者との間で不平等が生じるとも考えられます。

相続に限らず、納税に関してはこういった平等やバランスが重要視されますので、あまりに釣り合いが取れない事態が起こり得る場合には、制限が設けられることが多いです。
贈与による節税が悪いことと捉えられているわけではありませんが、生前贈与に関して、相続前3年以内になされた贈与は相続税の計算に含めるという措置が取られています。
これが「生前贈与加算」です。

そうすることで、死期を悟った被相続人または周囲の人が急に贈与を初めて課税を免れるという事態を防いでいるのです。

生前贈与加算がされないケース

生前贈与加算が行われる者は「相続や遺贈によって財産を取得した者」に限られています。
そのため相続に際して何ら財産を取得していない者に関しては直前に生前贈与を受けていたとしてもこの計算の対象外となります。

例えば、被相続人の配偶者や子は対象となる一方で、孫や子どもの配偶者、相続人以外の者は対象外です。

このことから言えるのは、子に対する贈与ではなく、孫に対して贈与をすることがより有効な節税対策であるということです。

ただ、孫が常に対象外になるわけではなく、孫が相続・遺贈によって財産を取得するのであれば生前贈与による節税効果はなくなるため注意しなければなりません。
例えば当該孫の親がすでに死亡している場合などです。このときには、代襲相続によって孫が親の立場を承継し、相続人として扱われるのです。つまりこの場合には孫であっても、子が財産を得た場合と何も違わないということになります。
遺言で孫に対して財産を与える旨記載しているケースも同様です。

贈与税をすでに納めている場合

相続の前3年間が対象範囲になるということで、すでに生前贈与に関する贈与税を納めてしまっていることもあるでしょう。
この場合には二重課税にならないよう「贈与税額控除」の仕組みが設けられています。

年間110万円を超える贈与をしているのであれば贈与税を納めているはずですので、これを調整するため、納付額は、相続税の計算にあたって控除するとされています。
そのため、生前贈与加算をされたからといって、本来の状態よりも損をしてしまうというわけではありません。
この点混乱のないように理解しておきましょう。