相続の廃除をしたが取り消したい!どのような手続をすればいい?

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配偶者または子などとの関係性が非常に悪く、財産の承継を否定する客観的な事情も持つ場合には「廃除」をすることができます。

しかしその後、実際に相続が始まるまでの間に関係性が回復することもあるでしょう。このようなケースで廃除を取り消すにはどうすれば良いのかご存知でしょうか。

廃除の取消しとは

配偶者や子は、通常、相続人となることができます。そのため被相続人との関係性がどうであれ原則は財産を引き継ぐことが可能です。

しかし、生前に暴力をふるっていたり侮辱的な行為をしていたりなど、著しい非行がある場合にまで相続人としての立場を守る必要はありません。

 

そこで「廃除」の制度が設けられています。

被相続人となる者は、家庭裁判所に請求をして、その者から相続の権利を剥奪できるのです。遺言によってその意思表示を行うことも可能で、その場合には遺言の執行者が家裁に請求を行うことになります。

 

ただ、この廃除は、一度手続を終えればいっさい取り消すことができないものではありません。廃除を取り消して、配偶者や子などの相続権を復活させることは可能です。

 

例えば、関係性が良好になることもあるでしょう。過去に酷い扱いをされていたとしても、数年、数十年経過すれば関係性が変わることもあります。

そもそも廃除の制度自体、被相続人の持つ財産の処理について、本人の意思を尊重すべきということで設けられているものです。

そのため実際には関係性が回復をしていなかったとしても、本人が、自らの意思で廃除をなかったことにしたいというのなら、その意思も尊重すべきなのです。

 

その結果、取り消しをすることは認められていますし、民法でもその旨規定が置かれています。

第894条第1項 被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

なお、廃除が遺言でも可能なのと同様、取り消し請求も遺言によって行うことが可能です。そしてこちらもやはり遺言の執行者が代わりに家裁へ請求をします。

廃除を取り消す際の注意点

取り消しを請求しても必ずその通りになるとは限りません

もともと廃除自体が厳格な審査を要する手続であるため、その取り消しにも家裁が介入します。

 

そこで、遺言での取り消しは避けるべきでしょう。この場合、事後的な対応となり、上手くいかなかった場合に対処のしようがなくなります。

理由を書き残したり、証拠を残したりなど、工夫して遺言を作成しなければなりません。

 

そこで事前に専門家のアドバイスを受け、家裁に請求をしておきましょう。自ら証言することも可能になりますし、結果として請求を認めてもらいやすくなります。