相続人がいないとき債権者はどうする?財産管理人の選任について紹介

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被相続人の債権者は、相続財産から救済を受けることが可能です。しかしその遺産を管理してくれる者がいなければ財産が散逸してしまうおそれもあります。そこでこのような事態に備えて管理者を定める手続が設けられています。

管理人選任の申し立て

遺産は、相続人が管理するものとして法律で定められています。そのため通常は特段の手続を要することなく財産が保存・保管されます。

しかし常に相続人が存在しているとは限りませんし、存在が明らかでないケースもあります。

債権者は、弁済を受ける前に債務者が亡くなってしまった場合、残っている財産から救済を受けることになりますが、適切な管理をされていなければ十分な弁済が受けられない可能性も出てきます。

 

そこで役に立つのが「管理人選任の申立」制度です。家庭裁判所に申立を行い、管理者を選任してもらうのです。選任後はその者が債務の支払いなどを代わりに行うことになります。

 

申し立てることができるのは「利害関係人」と「検察官」とされており、この利害関係人とは例えば債権者や特定遺贈を受けた者、そして特別縁故者なども含まれます。

 

必要な費用を準備して、被相続人が最後に住んでいたエリアを管轄する家庭裁判所へ申立てを行いましょう。

なお費用と言っても800円分の収入印紙と連絡用の郵便切手、公告料4,320円だけです。

 

管理の仕事に対する報酬は相続財産の中から支払うことになるため、申し立てをした者が直接費用を負担する必要はありません。

ただ、遺産価額が少額であった場合、管理者への報酬分が満足に捻出できない可能性があります。

そうすると申立人が予納金として納めないといけないケースもありますので、注意が必要です。

選任申し立てに必要な書類

当該申し立てに必要な書類は「申立書」と、戸籍謄本等の添付書類です。

申立書は裁判所のWebサイトから書式や記載例が確認できます。添付書類の種類に関しても以下のサイトで掲載されていますので、一度確認しておくと良いでしょう。

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_15/index.html

選任後の流れ

  1. 家裁が選任をした後、まず、その旨の公告がなされます。
  2. そして公告から2ヶ月経過後、債権者や受遺者を確認するためにまた公告を行います。
  3. その公告からさらに2ヶ月経過後、家裁は相続人を捜すために6ヶ月以上の期間を設けて公告を行い、期間満了までに現れなければ不存在が確定します。
  4. その後管理者は必要に応じて、財産を換価し、債権者等への支払いをしていきます。

この流れを見て分かるように、実際に債権者が支払いを受けられるまでには長い期間を要します。この点理解しておきましょう。

なお残った財産は国庫として収められます。